東洋医学の古典には、「上工は未病を治す」という言葉があります。

「上工」とは名医の意。

「未病」とは、発病には至っていないが、健康な状態から離れつつある状態を意味し、病名診断には至っていなくとも、生命力学の入出力のバランスが崩れ、何かしら不快な感覚、微症状を感じているような状態。

「上工は未病を治す」とは、重篤になった病気を治すのが名医なのではなく、発病する前に、本来の健康な状態にからだが戻ろうとするのを、しっかりサポート出来、病気にさせないのが名医なのではと思います。

私達の意識の及ばないところで、からだは無意識のうちにも、バランスを制御する働きをしてくれています。

だから、私達は生きていられるのです。

そこのところを十分に理解して、からだのバランス制御に寄り添い、十分な働きが出来るよう、からだにとっての最適な御手伝いが出来るようにする。

そうすれば、「未病を治す」のみならず、バランスを崩して病気になってしまった場合も有効ですし、また元気な状態の時も更に健康の維持、増進が可能なのです。

それが治療医学にはない操体の健康学の捉え方なのです。

健康学は、症状、疾患を治療する治療医学にもつうじ、未病医学、予防医学にもつうじているのです。

治療医学、未病医学、予防医学、それらの枠を超えた真の健康体(自然体)の追求、それが健康学なのであります。

病気が治ったから健康になれるのではなく、本来の健康体に近づくほど病気も自然の法則に従い治まっていく、そしてそこから更に健康維持、増進が可能。

人間の考え方、人間にとっての合理性から判断するのではなく、自然の理に従った捉え方からからだのバランス制御の力を引き出していく。

それには、生命力学の入出力のバランスを崩し、症状、疾患の元の原因となっているものを正していく。

元の原因を正す事は、何かしらの病気を抱えている時にも必要ですし、健康な状態から離れつつある状態の時も必要です。

そして、元気な状態の時も、健康の維持、増進していく為に勿論必要なのです。

操体では、生命力学のバランスを崩し、症状、疾患の元の原因となっているものの研究が創始者である橋本敬三先生の時代から続けられてきました。

必然的に、真の自然体(健康体)とはどのようなものなのか?といった問いかけも続けられてきました。

そして、橋本先生の直弟子である三浦寛先生の提唱する重心の適正をかなえていく事によって、それが可能だと明らかになってきたのです。