操体法では、医師であった橋本敬三先生の時代から「動かして診る」というダイナミックな動的な診断が行われています。

一時期は、テレビをはじめメディアにも多数取り上げられ、一大ブームが巻き起こった時期もありました。

しかし、「動かして診る」という診断法には、死角、盲点があります。

素朴な疑問として「じぁ、動けない人にはどうするんだ?」と思う人も多いと思うのです。

そこに、いち早く対応したのが橋本敬三先生の傍で一番学ばれていた三浦寛先生でした。

三浦先生は著書の中で、次のように書いています。

操体法に対する評価の中で必ず質問されるのは「操体法は動かすことのできない患者にどう対応していこうとするのか」である。

そこで着眼してみたのが「皮膚」であった。

皮膚に注目して理解したことは、動かないからだ(本人)を無理に動かして診る必要はない、動かなければ静力学的に捉えて、動けるように持っていけばよいのである。

その条件を十分に満たしているのが皮膚だったのである。

そもそも操体法が見ている「運動系」は筋骨格系の横紋筋系運動系なのである。

皮膚の介在という捉え方がなかったのである。

私は皮膚内臓系運動系または皮膚内壁系運動系と位置付けている。

『操体法の新重心理論(導入編)』より

実際に、急性のギックリ腰など、どう動かしても痛みが伴う場合があります。

痛い、ツライという感覚は、からだがそれ以上やってほしくないという、からだのサイン、警告でもあります。

からだの感覚を無視して、無理に動かせば壊してしまいます。

からだは、自分の意図した行動に合わせて動いてくれている他にも、自律したバランス制御に向けた働きを絶えずしてくれています。

しかし、からだの働きにも限度があります。

ギックリ腰なども、からだの恕限度を越えた自分本位な不正当なからだの使い方にあります。

不正当なからだの使い方を続けていれば、その分ボディの歪みも増大させ、ちょっとした事でも、からだの恕限度を越えやすくなります。

これは、ギックリ腰に限らず様々な症状、疾患にも言えることです。

不正当なからだの使い方、動かし方から痛めているのを、更に動かそうとするのをからだは拒絶している。

急性のギックリ腰で、動きを四方八方に塞いで、安静にするのを求めているのは、からだからすれば当然のことなのだと思います。

自分(本人)が安静にしている間に、からだはバランス制御(治し)の働きがスムースに行えますから。

ですから、無理に動かして診ようとせずに、先程の引用文にあるように、静力学的に捉えて動けるようにしていけば良いという事であり、からだのバランス制御の働きを発動させる動きを導き出す静的アプローチが必要という事なのです。

そこで注目されたのが皮膚であり、皮膚の凄さ、素晴らしさに関しては一般的な理解、知識からでは計り知れないものがあります。

皮膚へのアプローチにより、動かして診る事が出来ない人は勿論、従来の操体法からでは十分に対応できなかったからだの不調、心とからだのアンバランスなど様々な問題に対応できるようになっています。