されど肩凝り
全体的なバランスという観点が必要
昔から、たかが肩凝りとか、されど肩凝りとか、よく言われます。
肩凝りも、一時的な疲労感のような肩こりもあれば、頚肩腕症候群、肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)といった関節や筋肉の疾患を伴うものや、血圧の異常をはじめとする内科的疾患、心因性を起因とするものまで様々です。
施療、施術する側にも昔から「肩の悩みが解消できれば一人前」という言葉があります。
肩は構造的にみても、運動の自由度が大きく複雑な動きにも対応できます。
しかし、自由度が高いゆえに不安定ともなり易いのです。
肩凝りにしても、からだ全体が不安定な状態で肩周辺の筋肉の凝りや張りだけ解消させても一時的な場合が多い。
その凝りや張りは、からだからしてみれば何らかの理由があって生じているわけであり、全体のバランスをとる為に、どうしても局所負担がそこに生じるようになってしまっている、と言えます。
だから、不安定となるバランスの崩れの根本的な原因に目を向ける必要があり、たかが肩凝りと侮る事は出来ないのです。
日常生活動作も大事
肩凝りの原因としては、先に挙げた関節、筋、腱の疾患、何らかの内科的疾患、精神的アンバランスなどがあるが、一番無視できない原因は日常生活動作をはじめとする動きです。
日常生活動作をはじめとする動き。これは一番重視しなければならない原因ですが、一番蔑ろにされている事柄でもあります。
誰でも、生きて生命活動を営んでいる限り、動いています。
何らかの理由で寝たきりになったとしても、からだの動きというものがあります。
この、からだの動きそのものは、バランス制御に働きかけていますが、日常生活に於ける自分の動きというのは、感情や思惑の影響を受け、からだの動きを阻害してバランスを崩す方向に向いている事が多い。
大抵の人は、無意識にも有難く活動しているからだの動きというものに無頓着であり、無頓着、無関心であるが故に自分の心とからだの不調和を生じさせ、それによって不快な動きの方向にボディを歪ませ、窮屈で不安定な日常生活動作となっている場合がほとんどです。
それでも間に合っているうちはいいですが、間違いに気づかず、そのまま不快感覚が増していけば、ボディの歪みは不自然な動きの循環とともに2次的3次的と増々波及していきます。
その過程で、不安定となり易いのが肩であり、四十肩、五十肩と呼ばれるものなどは、その典型でもあります。
決して年齢的な問題だけではなく、その生命活動の中身の問題なのです。
また、これは筋、腱、関節の局所負担の現れ方によっては、肩関節周囲炎のみならず腱板炎や拘縮肩といった疾患となって現れるという事であり、その現われの現象のみを対象とした治療で、痛みがなくなったとしても根本的な解決にはならないのです。
その痛みは、本人に生活動作を改めるよう促す、からだからのサインでもあるのです。
そのサインを受け取れなくすれば、その時は痛みから解放されても、債務は残るし利子もつくのです。
肩の不調を抱える人が、肩だけでなく首、頭、腰の痛み、精神的消耗、内臓機能の不調を抱えている、抱えてしまうのには、そういう理由があるのです。
ボディの歪みを正し、からだの動きと調和していく
日常生活動作を、からだの動きと調和するように改める。
それがキチンと出来れば、生命活動は快適なものへと変わっていき、おのずと不快症状も治まってくるのです。
自然の真理はシンプルだとよく言われますが、その通りなのです。
しかし、それがなかなか受け入れられないのは、シンプルゆえに軽んじてしまうところがあるからなのです。
からだの動きと調和する、そんな事で良くなるの?
そんなことだったらすぐ出来るよ、といった声が聞こえてきそうです。
しかし、シンプルゆえに奥は深いのです。
局所の動きだけ見て簡単と思えても、それがどう連動して全体的に調和のとれた動きになるのかという事になると、大抵の人は吊り合いのとれない局所の筋、腱、関節に負担をかける動きとなり、その負担にも気づけていない。
その要因はどこにあるのかというと、ボディの歪みであり、日常生活動作をはじめとする生命活動の間違いによって、本人の気づかぬまま生じているボディの歪みが、元々の自然環境に適応した動きを不自然な動きへと変えてしまっているのです。
ですから、まずはボディの歪みを、自然環境をはじめとした様々な環境に適応できるよう、からだにとっての快適感覚(気持ちよさ)で正しながら、からだの動きと調和していく必要があるのです。
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