操体、操体法~同時相関相補連動性に関して

操体は独創的であるが故に

操体は西洋医学や中医学の模倣ではなく、根幹をなす生命観からして独創的であります。
その為、一般的な考え方からでは解りづらい面があると思います。

操体、操体法に興味のある方がインターネットで検索して、まず閲覧するのがWikipediaだと思いますが、そのなかには、こう書かれている部分があります。

「操体」 は、橋本敬三の哲学、息食動想の 「同時相関相補連動性」 などを含めたものを指し、「操体法」 は橋本敬三が行っていた臨床の部分を指す。
Wikipediaより

この息食動想の「同時相関相補連動性」とはどんなことなのでしょうか?
一般の方が見て、これだけでは解らないと思うのです。

「息」「食」「動」「想」と「環」のバランスの生命観について

まず息食動想とは、息=呼吸、食=飲食、動=身体運動、想=精神活動を指します。
そして、この「息」「食」「動」「想」の4つは生きている限り、代わりに誰か他人にやってもらうわけにはいかない生命活動です。

この「息」「食」「動」「想」の質がそのまま、その人の生き方、健康状態に反映されるわけです。
そして、Wikipediaの文面には記載がないですが、「環境」の影響も無視できません。
誰もが自分だけで生きているわけではなく、「環境」の中で生かされて生きているわけですから。

私達を包む「環境」には、自然環境、人為的環境、社会的環境とありますが、一番重視しなければならないのは自然環境です。
人間は社会的な生き物であり、人為、社会的環境を、とかく重視しがちです。

しかし、人為、社会的な結びつきばかりに心が向き、他と比較して劣等感をもったり、焦ったり、自分自身を縛ったりと、ストレスを蓄積させて健康を害している人が多いのも事実です。

人為、社会的環境の中で、どう生きるかの前に、我々人間は自然によってどう生かされているのかを見つめ直すことも必要なのです。

どんなに頑張ったって、人間は地球の上から振り落とされないように重力で支えられて、無意識にも呼吸が出来ている大自然の環境がなければ生きていられないのです。

また、この肉体は他の生物の生命を頂かなくては存在を保てませんが、その食物連鎖の観点から考えても、大元に自然環境がなければ成立し得ないのです。

その自然環境に適応して生きる事こそ、健康の回復、維持、増進につながり、人間の持つ可能性を高める事ともなるのです。……これは体験し、実感が伴わないと解りづらい事かもしれませんが……。

「息」「食」「動」「想」には自然の法則や理が在る

自ら責任を持って営まねばならぬ最小限の生命活動である「息」「食」「動」「想」には、それぞれ自然環境に適応してより良く生きる為の、自然の法則や理というのが自在するのです。

自分はどうでも、自分のからだは、そうした自然の摂理に向いているのです。

だから、無意識にも呼吸が出来ているし、何か行動を起こす時にも自分は意識していなくともからだは自然環境との調和を元に、合目的に動こうとしてくれるのです。

からだは本来的に自然環境への適応に向き、自律しながら自分にも合わせてくれています。
しかし、自分の「息」「食」「動」「想」の営みが自然の摂理に反していれば、自然環境への適応性が衰退し、からだはバランスを崩して、自分自身の健康も害してしまう。

逆に自分で「息」「食」「動」「想」の営みを自然の摂理に合わせるようにしていけば、健康の回復、維持、増進は勿論、自分の可能性を高めたり広げる事が出来、より良く生きることにつながる。
ここで重要なのが、先に挙げたWikipediaにも記載がある「同時相関相補連動性」なのです。

同時相関相補連動性について

「息」「食」「動」「想」の営みは同時相関相補連動性になっており、自然法則への順応を基に「ある営みが悪くなれば他の営みも悪くなる性質と、ある営みが良くなれば他の営みも良くなる」という性質を有し、時間、空間的にも「環境(自然、社会、人為)」を含めて連鎖性を有しながら密接に関連し合っているのです。

だから、操体では昔から「息」「食」「動」「想」それぞれの自然法則の究明という事が行われており、なかでも「動」の法則を究明したものを臨床で応用し、からだのバランス制御に働きかけています。
そして、その結果として様々な症状、疾患現象からの回復をみるのです。

その回復過程では、「動」が良くなれば、からだをとおして他の「息」「食」「想」も良くなるという同時相関相補連動性が反映されているのです。
そして、そこには気持ちがいいという「感覚」が在るのです。この感覚は自分の意識だけでは捉えられない無意識の領域での、からだ自身が「快」「不快」をききわけている原始感覚も含みます。

からだは、からだの求める自然な「動き」から、全体の調和が密になっていきますが、その調和が密になる過程には「呼吸」が深く関わっています。これも「動き」と相関相補し、気持ちよさにつうじます。
また、消化吸収の器官である腸は免疫力の宝庫とも呼ばれていますが、「食」に関しても主要な役割を果たしていますし、感情とも相関しています。
この腸が活性化することも、内部から全体への快に向けた動きの働きかけであり、気持ちよさにつうじます。

「想」に関しては言わずもがなであり、からだの部分部分、細胞一つ一つが快によって調和に向かうのを不快に想う人はいない筈です。

その調和に向かう気持ちよさを味わう時空によって、窮屈な動きに偏ったボディの歪みによる力学的ストレスをはじめ、身心共に様々なストレスからの解放に向かいます。
心もからだも、快適感覚で調和する事によって、バランス制御が可能となっているという事。
そして、それが日常生活にも反映されてくる。

この日常生活にも反映して生命活動の営みが変わってくるのも、快適感覚によるバランス制御の特徴であり、施術をしたその時だけでなく、良い状態を長持ちさせる秘訣でもあります。
長持ちさせるという言い方は適当ではないですが、その長持ちは更に良くなろうとするバランス状態から生じているものであり、自分でも気持ちのよさに向けた生活習慣を意識することで更なる向上が見込めるという事です。

生命現象はバランス現象

生命現象はバランス現象であり、○○病とか○○疾患という症状疾患現象も、自然からすればバランスの悪さの現れにすぎません。

そのバランスは自然の摂理に沿って可逆的であり、生命維持に必須な生命活動の一つの営みでも自然の摂理に調和していけるほど快であり、その快適感覚に呼応するが如くにバランスはより良くなっていく。

バランスが、より良くなっていく過程で○○病、○○疾患といった不快感を伴うバランスの悪さの現れも消失に向かう。
そこには同時に健康回復のバランスが伴っており、そこからの健康維持、増進の道も開けているのです。

操体はバランス現象をより良くしていく為に、体感をとおして深淵なる自然の摂理を学ぶ学問でもあります。
その学びから得られたものを臨床で応用し、よりよいバランス現象となるよう貢献しているのが操体法ということなのです。